スピルバーグ監督が鈴木裕さんにサインを求めてきたという真相は?

スティーヴン・スピルバーグ監督が『シェンムー』を評価し、鈴木裕さんにサインを求めてきた。という話を聞いたことがある人はいるでしょうか?
シェンムーファンにとっては、お馴染みのエピソードだと思います。

このエピソードは、Wikiにも記載されています。

1990年代後半からは家庭用ゲームソフトの開発に携わり始め、1999年にドリームキャストの超大作『シェンムー』などを開発。総制作費70億円(ギネス認定記録だが、鈴木裕自身は50億円とコメントしている)と比較して商業的には振るわなかったが、世界各国で賞を受賞し、スティーヴン・スピルバーグ監督が絶賛するなど、特に海外で評価が高い。スピルバーグ監督と会談した際に、スピルバーグの方から鈴木裕にサインを求めてきた話は、宮本茂がポール・マッカートニーにサインを求められた話と共によく引き合いに出される。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E8%A3%95

今回はこのエピソードの真相を紹介したいと思います。

このエピソードの真相は、2016年の電ファミニコゲーマーの鈴木裕さんと、原田勝弘さんの対談で裕さん本人から語られています。

――それにしても、なぜそうまでして「映画的」なゲームを作ろうとしたのかが気になるんです。そもそも、裕さんは映画とゲームの関係をどうお考えですか。

鈴木氏:
そうね……。
以前スピルバーグさんが、マックス君という息子さんを連れてきたときに、僕に「サインをくれ」と言ったんです。信じがたい展開です(笑)。
そのときに、スピルバーグってお茶目だと思いました――彼は僕の耳元まできて、「子供はゲームのほうが好きなんだよ、いつの日も」ってささやいたんです。マックス君は、どうも『バーチャ』のファンだったみたいなんです。

――裕さんにスピルバーグがサインをお願いしたというのは、そういう経緯だったんですね。

鈴木氏:
親ってそういうものだよね(笑)。でも、この話にはもう一つの真理もあって、子供はやっぱり「映画よりゲームが好き」なんです。映画は一回観たら終わりだから、子供には退屈なんですよ。ゲームは繰り返せる上に、自分が参加できる。ゲームの最大の魅力は“インタラクティブ”にあるんです。
http://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/virtua_fighter

さらに、2000年に行われた「今語る、シェンムーのすべて」 というセミナーでも同じことを話しています。

●浜野保樹:よく押井守監督が、人間はカメラの記憶を通して映像を見ているといます。だから裸眼で見ているものが映像で出てくるわけではないんですね。皆さんも何か映像を見ているというのは、ゲームにしても何にしてもある種の、皆さんが映像で慣れ親しんだカメラを通 したカメラのくせで映像を見ているわけです。だから、そういったものまで鈴木さんは、そのゲームの中で表現をして、カメラの28とか50とか。カメラのくせを使いながら、そういうものを見せているからリアリティーが出てくるんですね。そこまで考えてカメラの種類まで考えて映像を出しているわけですね。 それで、ちょっと個人的な興味ですけど、スピルバーグに会って得るところありました?

●鈴木裕:やっぱりなんたってスピルバーグですからね。うちの社員にも大フアンがいるわけです。サインを貰ったら一生鈴木さんについていくからと言って、とにかくサイン貰ってくれって。三人位 いるんですよ、サイン貰ってくれっていう人が。しかも、スピルバーグはサイン嫌いだという情報が。じゃどうしようかと、ずっと後ろに色紙を持って、いつ言い出そうかとやっていたんですけど、なにかひょんなことからスピルバーグがぼくにサインくれと言うんです。理由を聞いてみたら、10歳でマックス君という息子さんがね『バーチャファイター』の大フアンだといって、あのどこの世界もお父さんの職業には子供は興味ないんですね。うちの子も『シェンムー』よりも『セーラームーン』だったりしていますから。なんか、まあスピルバーグみたいな人が最新技術を常にSFXも実写 もやるんだけども、常に見ている方なので、『シェンムー』そのものじゃなくて、『シェンムー』がチャレンジしている内容の可能性に対しては非常に興味を持っているようです。ただスピルバーグの場合は、何やっても絶対売れちゃうのであれなんだけど。
http://eatx.bp-musashi.jp/eAT00img/eAT00smnA.html

つまり、スピルバーグの息子のマックス君が『バーチャファイター』のファンで、鈴木裕さんにサインを求めてきた。というのが真相だったわけです。
ただスピルバーグ監督自身も、『シェンムー』がチャレンジしている内容の可能性に対して興味を持っていたようです。

どんなにお父さんが有名でも、お父さんの職業に子供は興味がなく、「ゲームが好き(裕さんの子供の場合はセーラームーン)」というお話もいいですね。
子供というのはそういうものなのでしょう。

なお、「今語る、シェンムーのすべて」(2000年)というセミナーは今も公式サイトに掲載されています。
セミナーなのでマニアックな話が中心になりますが、シェンムーのことを色々と話しているので興味がある方はぜひ。